【本の紹介】石油の帝国—エクソンモービルとアメリカのスーパーパワー(スティーブ・コール:ダイヤモンド社)

エクソンモービル(XOM)の株は持っていませんが、石油業界、アメリカ経済、世界情勢の勉強のため購入して読破。

Kindleで読みましたが、非常に長い本です。たまに書店で印刷版を見ると凄まじく分厚いので、これを持ち歩くのは無理だろうなと思います。

本書は1990年代から2010年代にかけて、エクソンモービルのCEOでいうとリー・レイモンドと後任のレックスティラソンの二代に渡ってのアメリカ最強の企業エクソンモービルの姿を追ったものです。
またこの期間は、アラスカでのエクソンバルディーズ号の原油流出事故から、メキシコ湾でのBPの原油流出事故までの間でもあります。

その期間の様々な出来事、モービルとの合併や京都議定書への対応、アメリカの政権交代への対応などが描かれていきます。
しかし何と言っても本書の中心となるのは主にアフリカやアジア、南米など世界各国での操業の実態です。
現地の独裁者、ゲリラ勢力とのやり取りが展開されていきます。
その様子は現代の東インド会社というか、企業の枠を超えた正にPrivate Empire(本書の原題)そのままです。

2006年、ロシアのプーチン大統領がエクソンモービルモービルに対して契約の一つについての再交渉を要求した際、ブッシュ大統領はアメリカ政府は石油外交としてプーチン大統領の再交渉要求を押し返す用意がある、という申し出を行うものの、CEOのティラソンは同社のワシントン事務所を通じてこう返答します。(先に電話をしてきたのはブッシュ大統領の方で、ティラソンではない)

要するに、プーチンは我々が相手にしている各国元首の中では比較的おとなしいほうであり、自分たちで処理したほうが上手くいく、ということだった。

この言葉もそうですが、必ずしも米国政府の外交政策と常に共同というわけでは無く、時に一線を画し独自の戦略を進めることも描かれています。

ということで、非常に長い本ですが、章立て毎に次はこの国、今度はこの国、と分かれていて徐々に読み進めるのに適しているのと、何と言っても映画や小説よりも奇なる現実世界の迫真のノンフィクションで、気付いたら読み終えていた、というところです。

なんというか、最近の映画などで国家の力に匹敵するような巨大企業が出てくる作品がよくありますが(アイアンマン/アベンジャーズのスタークインダストリーズやスパイダーマンのオズコープ、バイオハザードのアンブレラ社、ロボコップのオムニ社等々)それを地で行く展開で、そっち方面が好きな方にもお勧めします。

で、結果、エクソンモービルや石油業界に投資するのかどうかですが、原油価格の動向も含めまだまだ検討を要すると思ってまして、もう少し様子見です。
ただこの本、ニュースを見る目が少し変わります。


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